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草壁シトヒ
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なぜ『ryzen 第3世代』は名作?Zen 2アーキテクチャの革新性を徹底解剖

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2019年に登場したAMDのRyzen 第3世代プロセッサーは、単なる新製品の枠を超え、CPU市場の歴史にその名を刻む「名作」として語り継がれています。それまでの常識を覆し、Intelが長年築いてきた牙城を崩したRyzen 第3世代は、なぜこれほどまでに高く評価されるのでしょうか。

私が考えるに、その理由は単に性能が高いというだけではなく、その裏にある技術的な大躍進と、市場に与えたインパクトの大きさにあります。この記事では、Ryzen 第3世代が名作と呼ばれる所以である「Zen 2アーキテクチャ」の革新性を徹底的に解剖し、その魅力に迫ります。

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なぜRyzen 第3世代は市場を支配できたのか|2つの技術革新

Ryzen 第3世代の成功は、偶然の産物ではありません。その根幹には「Zen 2アーキテクチャ」という名の、計算され尽くした技術革新が存在します。私が特に重要だと考えるのは、CPUの設計思想そのものを変えた「チップレット設計」と、純粋な処理能力を底上げした「コア性能の向上」という2つの柱です。

コストとスケーラビリティの最適解|チップレット設計

Ryzen 第3世代が市場に与えた最大の衝撃は、チップレット設計の採用にあります。従来のCPUは、全ての機能を一枚の大きなシリコンチップに詰め込む「モノリシック設計」が主流でした。しかしこの方法は、チップが大きくなるほど製造不良のリスクが高まり、コストが跳ね上がるという問題を抱えていました。

AMDはこの問題を、CPUの機能を複数の小さな専門チップに分割し、それらを一つのパッケージ上で繋ぎ合わせるという画期的な方法で解決しました。CPUコアを内蔵する「Core Chiplet Die (CCD)」は最先端の7nmプロセスで製造し、メモリコントローラーなどを持つ「I/O Die (cIOD)」はコスト効率の良い12nmプロセスで製造するという分業体制です。これにより、高い性能と優れたコストパフォーマンスを両立し、8コアから16コアまで柔軟に製品を展開する驚異的なスケーラビリティを実現しました。

シングルコア性能を飛躍させたZen 2コアの内部構造

チップレット設計が生産性の革命なら、Zen 2コア自体の進化は性能の革命です。前世代のZen+アーキテクチャと比較して、クロックあたりの命令実行数、いわゆるIPCが平均で15%も向上しました。これは、CPUの頭脳がより賢くなったことを意味し、特にシングルスレッド性能の向上に大きく貢献しました。

このIPC向上の背景には、命令処理の効率を上げるための数々の改良があります。分岐予測の精度を高め、一度処理した命令を保持するキャッシュの容量を倍増させることで、無駄な処理を徹底的に削減しました。加えて、浮動小数点演算ユニットの性能を倍増させ、L3キャッシュの容量を2倍に増強した「GameCache」は、クリエイティブ作業やゲーミングにおいて絶大な効果を発揮します。

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クリエイターからゲーマーまで満足させた圧倒的パフォーマンス

Zen 2アーキテクチャという強力な心臓部を得たRyzen 第3世代は、実際の性能においても市場を驚かせました。それまで高価なハイエンド製品でしか得られなかった多コア性能をメインストリームにもたらし、長年の課題であったゲーミング性能においても、ついに競合と肩を並べるに至りました。

プロシューマー市場を創造した多コア性能

Ryzen 9 3950Xや3900Xの登場は、まさに衝撃的でした。メインストリーム向けのAM4プラットフォームで、12コアや16コアといった圧倒的なマルチスレッド性能を実現したからです。これにより、ビデオ編集や3Dレンダリングといった重い作業を行うコンテンツクリエイター達は、高価なHEDTプラットフォームを組むことなく、プロレベルの作業環境を構築できるようになりました。

実際に、CPUのレンダリング性能を測るCinebench R20のようなベンチマークでは、当時のIntelのフラッグシップモデルに対して1.5倍から2倍近いスコアを記録し、その実力を見せつけました。ミドルレンジのRyzen 7 3700Xでさえ、多くのマルチスレッドタスクでIntelのハイエンド製品に匹敵する性能を発揮したことは、その価値提案の高さを示しています。

Intelの牙城を崩したゲーミング性能

これまでのRyzenシリーズは、ゲーミング性能が弱点だと指摘されてきました。しかし、Ryzen 第3世代はIPCの向上と大容量の「GameCache」によって、その評価を覆します。多くのゲームタイトルにおいて、GPUがボトルネックとなる高解像度環境では、Intelの競合製品と遜色ないフレームレートを叩き出しました。

もちろん、一部のCPU性能が重要になる1080p解像度などでは、動作クロックの高いIntel製CPUがわずかに優位な場面もありました。しかし、ゲームをしながら配信を行うといったマルチタスク環境では、Ryzenの多コア性能が光ります。Ryzen 第3世代は、純粋なゲーマーだけでなく、幅広いPCユーザーにとって魅力的な選択肢となったのです。

伝説的CPUが生まれた盤石の製品ラインナップ

Ryzen 第3世代の強みは、幅広いユーザー層をカバーする製品ラインナップにもあります。その中でも、特に「名作」として語り継がれるCPUが生まれました。

  • Ryzen 5 3600|6コア12スレッドという十分な性能と、圧倒的なコストパフォーマンスで、ミドルレンジPCの新たな標準となりました。
  • Ryzen 3 3300X|低価格ながら、内部構造の工夫により上位モデルに迫るゲーミング性能を発揮し、予算を抑えたいゲーマーから絶大な支持を得ました。

これらの製品は、Ryzen 第3世代がいかに市場のニーズを的確に捉えていたかを象徴しています。

モデルコア/スレッドブーストクロック (GHz)L3キャッシュ (MB)TDP (W)
Ryzen 9 3950X16 / 324.764105
Ryzen 9 3900X12 / 244.664105
Ryzen 7 3700X8 / 164.43265
Ryzen 5 36006 / 124.23265
Ryzen 3 3300X4 / 84.31665

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将来性も見据えたプラットフォーム戦略の勝利

Ryzen 第3世代の魅力は、CPU単体の性能に留まりません。AMDはプラットフォーム全体でユーザーに価値を提供することに成功しました。業界を先駆けて導入した新技術と、ユーザーに寄り添った互換性への配慮は、多くの自作PCファンの心を掴みました。

業界をリードしたPCI Express 4.0への対応

Ryzen 第3世代は、コンシューマー向けプラットフォームとして初めて「PCI Express 4.0」に対応しました。これは、データ転送の通り道であるバスの帯域幅を、従来のPCIe 3.0の2倍に引き上げる新規格です。

この恩恵を最も受けたのが、超高速なNVMe SSDです。PCIe 4.0に対応したSSDは、従来の限界を大きく超える読み書き速度を実現し、大容量ファイルの転送やゲームのロード時間を劇的に短縮しました。発売当時はオーバースペックと見られることもありましたが、この先進性はAMDの技術的リーダーシップを強く印象付けました。

長期的な価値を生んだAM4ソケットの互換性

私がRyzen 第3世代を高く評価するもう一つの理由が、AM4ソケットの互換性です。AMDは、2017年の初代Ryzenから続くAM4ソケットを維持し、古い世代のマザーボードでもBIOSアップデートを行うことで、新しいRyzen 3000シリーズCPUにアップグレードできる道を残しました。

これは、新しいCPUが登場するたびにマザーボードの買い替えを要求することが多かったIntelの戦略とは対照的です。ユーザーは最小限の投資でPCの性能を大幅に向上させることができ、このユーザーフレンドリーな姿勢は、AMDエコシステムへの強い信頼を醸成しました。この長期的なサポートこそが、AMDが多くのファンを獲得した大きな要因です。

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まとめ|Ryzen 第3世代が今なお語り継がれる理由

Ryzen 第3世代は、単に高性能なCPUではありません。革新的な「チップレット設計」と成熟した「Zen 2コア」を両輪に、CPU市場の常識を打ち破りました。クリエイターには圧倒的な多コア性能を、ゲーマーには競合に比肩する快適なプレイ環境を提供し、あらゆるユーザーを満足させることに成功しました。

加えて、PCIe 4.0の先進性やAM4ソケットの長期的な互換性といったプラットフォームとしての魅力が、その価値を不動のものにしました。性能、価格、将来性の全てにおいて高いレベルでバランスが取れていたからこそ、Ryzen 第3世代はCPUの歴史に名を刻む「名作」として、今なお多くの人々に語り継がれているのです。

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