『VALORANT』をプレイしていて、「なんだか動きがカクカクする」「撃ち合いで一方的に負けることが多い」と感じていませんか。もしかしたら、それは「ラグ」が原因かもしれません。特にオンライン対戦FPSである『VALORANT』では、わずかなラグが勝敗を大きく左右します。このラグの主な原因となるのが「Ping値」です。
この記事では、『VALORANT』でPing値が高くなってしまう原因を詳しく解説し、誰でも試せる具体的な改善策を段階的にご紹介します。この記事を読めば、なぜラグが発生するのかを理解し、快適なプレイ環境を取り戻すためのヒントが見つかるはずです。安定した低Ping環境で、『VALORANT』本来の楽しさを満喫しましょう。
Ping値とは?『VALORANT』における重要性
『VALORANT』のようなオンラインゲーム、特に一瞬の反応が勝負を分けるタクティカルシューターにおいて、Ping値は非常に重要な要素です。Ping値が高いと、ゲームプレイに様々な悪影響が出ます。
オンラインゲームにおけるPing値(レイテンシ)の基本
オンラインゲームで使われる「Ping値」とは、あなたのパソコンから送信されたデータがゲームサーバーに届き、その応答がパソコンに返ってくるまでにかかる時間(往復時間)を示す指標です。この時間はミリ秒(ms)という非常に短い単位で計測され、数値が小さいほど応答が速い、つまり「ラグが少ない」状態を意味します。
よく混同されがちですが、Ping値はインターネット回線の「通信速度(帯域幅)」とは異なります。通信速度は一度に送受信できるデータの「量」を示しますが、Ping値はデータの往復にかかる「時間」を示します。『VALORANT』のようなゲームでは、大量のデータを送る速度よりも、プレイヤーの操作指示が「いかに速く」サーバーに届くかが重要になります。したがって、回線速度が速いからといって、必ずしもPing値が低いとは限りません。
なぜ『VALORANT』では低Pingが重要なのか?高Pingの影響
『VALORANT』では、弾が当たったかどうかの判定はゲームサーバー側で行われます。Ping値が高いと、自分の画面で見えている状況と、サーバーが認識している状況との間にズレが生じ、以下のような問題が発生します。
- 操作の遅延: スキルを使ったり、銃を撃ったりする操作が、画面に反映されるまでワンテンポ遅れて感じられます。
- 弾抜け・当たり判定のズレ: 自分の画面では敵に弾が当たっているのに、実際には当たっていないと判定されることがあります。逆に、壁に隠れたはずなのにダメージを受けることもあります。
- 不利な撃ち合い(ピーカーズアドバンテージの増幅): 遮蔽物から飛び出す敵が、自分よりも先にこちらを視認できてしまう現象がより顕著になります。高Ping側は反応する間もなく倒されるリスクが高まります。
- 敵のワープ・カクつき: 敵キャラクターが瞬間移動したり、不自然な動きに見えたりします。
- エイムの困難化: 敵の動きが予測しづらく、精密なエイムが非常に難しくなります。
これらの現象は、プレイヤー自身のスキルとは関係なく不利な状況を生み出し、大きなストレスの原因となります。競技性の高い『VALORANT』において、公平なゲーム体験のためには低いPing値を維持することが不可欠です。
目指すべき理想的なPing値は?
『VALORANT』を快適にプレイするために目指したいPing値の目安は、以下のようになります。
Ping値 (ms) | ゲームプレイへの影響 |
0-15 ms | 理想的: ラグはほぼ感じられず、競技プレイに最適。 |
16-30 ms | 良好: スムーズにプレイできる。ごく稀にわずかな遅延。 |
31-50 ms | 普通: ラグを感じ始める。プレイに影響が出る可能性あり。 |
51-100 ms | 悪い: 明らかなラグが発生し、ストレスを感じやすい。 |
100+ ms | 非常に悪い: プレイ困難。深刻なラグや切断が発生しやすい。 |
一般的には30ms以下が一つの目安とされていますが、よりシビアな撃ち合いが求められる高ランク帯を目指すのであれば、15ms以下を目標にすると良いでしょう。低いPing値を維持することが、快適で公平なプレイ体験に繋がります。
高Pingの原因を特定しよう!診断方法
Ping値が高い原因を突き止めるためには、まず現状を正確に把握することが重要です。『VALORANT』のゲーム内機能や外部ツールを使って、問題の所在を探りましょう。
ゲーム内でPing値とパケットロスを確認する方法
『VALORANT』のラグ問題を診断する上で最も信頼できるのは、ゲーム内で表示される数値です。
- リアルタイムPing確認: 対戦中にTabキー(デフォルト設定)を押すと、自分を含む全プレイヤーの現在のPing値が表示されます。これが、現在接続しているサーバーへの応答速度を示す最も重要な指標です。
- ネットワーク統計情報の常時表示:
- ゲーム設定メニューを開きます(Escキー)。
- 「グラフィック」タブを選択し、その中の「データ」タブ(古いバージョンでは「ビデオ」>「データ」)に進みます。
- 「ネットワークラウンドトリップタイム(Ping)」や「ネットワークラウンドトリップタイムのジッター」(Ping値の揺らぎ)などの項目を「テキストのみ」や「両方を表示」に設定します。 これで、プレイ中に常に画面上にPing値などが表示され、状況の変化を確認しやすくなります。
- パケットロスの確認: 同じ「データ」設定画面で、「パケットロス(受信)」「パケットロス(送信)」の表示も有効にできます。パケットロスは、データが途中で失われる現象で、ワープや弾抜けの大きな原因となります。常に0%が理想ですが、継続的に1%を超える場合はネットワーク環境に問題があると考えられます。
- 「ネットワーク問題あり」表示: ゲーム画面にこの警告が表示されたら、高いパケットロスや接続の不安定を示しているため、注意が必要です。
スピードテストサイトの活用と注意点
インターネット回線の基本的な状態を確認するために、以下のようなスピードテストサイトを利用できます。
- Speedtest.net by Ookla
- Fast.com (Netflix提供)
- Googleスピードテスト
- USENスピードテスト など
これらのサイトでは、ダウンロード速度、アップロード速度、そしてテストサーバーへのPing値を測定できます。ただし、ここで表示されるPing値は、あくまで近くにあるテスト用サーバーへの応答時間です。『VALORANT』のゲームサーバーへの実際のPing値とは異なる場合が多い点に注意が必要です。多くの場合、ゲーム内Pingよりも低い数値が出ます。
スピードテストの結果は、契約している回線の速度が出ているか、回線全体に大きな問題がないかを確認する目安にはなりますが、『VALORANT』のラグの直接的な原因特定には、ゲーム内での測定値を重視すべきです。
『VALORANT』サーバー側の問題を確認する
Pingが高い原因が、自分の環境ではなく『VALORANT』のサーバー側にある可能性もあります。特に、普段は問題ないのに突然ラグが発生した場合や、他のプレイヤーも同様の問題を報告している場合は、サーバー側の問題が疑われます。
- Riot Games サービス状況ページ: ライアットゲームズが提供する公式ページで、地域を「日本」に設定し、『VALORANT』サーバーの稼働状況、メンテナンス情報、障害情報を確認できます。
- 公式X (旧Twitter) アカウント: 『VALORANT』日本公式アカウント(@VALORANTjp)などが、緊急情報を発信することがあります。
- ゲーム内通知: ゲームクライアント内でアナウンスが表示されることもあります。
- コミュニティ情報: Reddit (r/VALORANT, r/ValorantTechSupportなど) や、日本のゲーム関連フォーラム、SNSで他のプレイヤーの状況を確認します。「Valorant ラグい」「Valorant Ping 高い 東京サーバー」などで検索してみると良いでしょう。
サーバー側に問題がある場合、プレイヤー側でできることは基本的にありません。公式情報を確認し、復旧を待つ必要があります。最初にサーバー状況を確認することで、不要なトラブルシューティングを避けることができます。
『VALORANT』でPing値が高くなる主な原因
『VALORANT』でPing値が高くなる原因は一つではありません。インターネット回線、自宅のネットワーク環境、PCの設定、ハードウェア、そしてゲームサーバー自体など、様々な要因が考えられます。
インターネット回線自体の問題 (ISP, Wi-Fi, 回線種別)
インターネット回線やその接続方法がPing値に影響を与えることがあります。
- ISP(インターネットサービスプロバイダー)の問題:
- 経路: ISPが『VALORANT』サーバー(主に東京)への接続に利用している経路が最適でない場合、Ping値が高くなることがあります。
- 混雑: 夜間や休日など、利用者が多い時間帯にISPのネットワーク内で混雑が発生すると、Ping値が上昇したり不安定になったりします。
- 接続方式: 古いPPPoE方式より、新しいIPoE方式(IPv4 over IPv6含む)の方が混雑に強く、Ping値が安定しやすい傾向があります。
- Wi-Fi(無線LAN)の不安定性:
- 電波干渉: 他のWi-Fiルーター、電子レンジ、Bluetooth機器などからの電波干渉を受けると、通信が不安定になりPing値が悪化します。特に2.4GHz帯は干渉を受けやすいです。
- 距離・障害物: ルーターからの距離が遠い、壁などの障害物がある場合、電波が弱まりPing値が上昇しやすくなります。
- 原理的な遅延: 無線通信は有線通信に比べて、わずかに遅延が大きくなる傾向があります。
- 回線の種類: 光回線が最も低遅延で安定しています。ADSL、ケーブルテレビ回線、モバイル回線(LTE/5G)、ホームルーター、ポケットWiFiなどは、一般的にPing値が高くなりやすいです。マンションタイプの光回線でも、建物内の配線がVDSL(電話線利用)だと速度や安定性が制限されることがあります。
自宅ネットワークの混雑 (同時接続, バックグラウンド通信)
自宅内で同じインターネット回線を共有している状況も、Ping値に影響します。
- 同時接続デバイス: スマートフォン、タブレット、他のPC、ゲーム機、スマートTVなど、多くのデバイスが同時に接続されていると、ルーターの負荷が増え、各デバイスの通信が遅延し、『VALORANT』のPing値も悪化することがあります。
- バックグラウンド通信:
- 家族が動画視聴(YouTube, Netflixなど)や大容量ファイルのダウンロード/アップロードを行っている。
- 他のオンラインゲームをプレイしている。
- OS(Windows Updateなど)やソフトウェアの自動アップデートが実行されている。
- クラウドストレージ(Google Drive, Dropboxなど)が同期を行っている。 これらは気づかないうちにネットワーク帯域を消費し、Ping値を不安定にする原因となります。
PCスペックや設定の問題 (スペック不足, ソフトウェア競合)
PC自体の状態も、間接的にネットワークパフォーマンスに影響を与えることがあります。
- PCスペック不足: CPU性能が低い、メモリ容量が足りない場合、ゲーム自体の動作が重くなるだけでなく、ネットワーク処理にも影響し、ラグとして感じられることがあります。タスクマネージャーでCPUやメモリ使用率が高い場合は注意が必要です。
- バックグラウンドアプリケーション: ゲーム中にWebブラウザ、他のゲームランチャー、Discordなどを多数起動していると、PCのリソースを消費し、『VALORANT』のパフォーマンスやPing値に悪影響を与えます。
- ドライバの問題: ネットワークカードやグラフィックカードのドライバが古い、破損している、特定のバージョンに不具合がある場合、接続が不安定になることがあります。
- OS関連: Windowsの電源プランが「省電力」などになっている、OSのバックグラウンドプロセスがリソースを消費している場合なども影響する可能性があります。
- セキュリティソフトの干渉: ファイアウォールやアンチウイルスソフトが、『VALORANT』の通信を妨害したり、PCの動作を重くしたりすることがあります。
ネットワーク機器の老朽化 (ルーター, LANケーブル)
接続に使用しているルーターやケーブルもPing値に影響します。
- ルーターの老朽化・性能不足: ルーターも電子機器であり、長年(4~5年以上が目安)使用していると性能が低下したり、最新の通信規格に対応できなくなったりします。処理能力の低いルーターは、多数のデバイス接続や高速回線を処理する際にボトルネックとなり、遅延の原因となります。
- LANケーブルの規格・劣化: 有線接続でも、古い規格のLANケーブル(例: カテゴリ5/CAT5)を使用していると、本来の回線速度が出ません。ケーブルが損傷していたり、ノイズの影響を受けやすい配線(電源ケーブルと並走など)だったりすると、通信が不安定になりPing値の上昇やパケットロスを招きます。最低でもカテゴリ5e (CAT5e)、推奨はカテゴリ6 (CAT6) 以上のケーブルを使用しましょう。
『VALORANT』サーバー側の要因 (距離, 負荷)
自分の環境に問題がなくても、サーバー側が原因でPingが高くなることもあります。
- サーバーとの物理的距離: Ping値は物理的な距離に大きく影響されます。日本からは通常、最も近い東京サーバーに接続されますが、何らかの理由で遠方のサーバー(香港、シンガポールなど)に接続されると、Ping値は高くなります。
- サーバーの負荷・混雑: イベント開催時やアップデート直後、多くのプレイヤーがアクセスする時間帯などには、サーバーに負荷がかかり、接続している全プレイヤーのPing値が悪化することがあります。
- サーバーメンテナンス・障害: サーバーがメンテナンス中であったり、技術的な問題が発生していたりする場合も、Ping値が高くなったり接続できなくなったりします。
特定の設定による影響 (ファイアウォール, IPv6非互換性)
ソフトウェアの設定が『VALORANT』の通信を妨げていることもあります。
- ファイアウォール/ポートブロック: Windows標準のファイアウォールやセキュリティソフトが、『VALORANT』が必要とする通信を誤ってブロックしてしまうことがあります。
- IPv6非互換性: 『VALORANT』は公式にはIPv6プロトコルをサポートしていません。お使いのインターネット環境がIPv6接続を優先する設定になっている場合、通信が不安定になったり、Ping値が異常に高くなったりすることが多く報告されています。これは特に、日本の光回線で普及しているIPoE方式を利用している場合に問題となりやすいです。
Ping値を下げる!具体的な改善策【基本編】
Ping値が高いと感じたら、まずは以下の基本的な対策から試してみましょう。これだけで改善することも少なくありません。
まず試したい!PC・ルーターの再起動
PCやネットワーク機器(ルーター、ONU/モデム)の再起動は、一時的な不具合や不安定な接続状態をリセットする最も簡単で効果的な方法の一つです。
手順:
- 『VALORANT』を終了し、PCを完全にシャットダウンします(スリープではなく「シャットダウン」を選びます)。
- ルーターとONU(またはモデム)の電源アダプターをコンセントから抜きます。
- 少なくとも30秒~1分ほど待ちます。これで機器内部のキャッシュがクリアされます。
- ONU(またはモデム)の電源を先に接続し、ランプが正常な状態になるまで数分待ちます。
- 次にルーターの電源を接続し、こちらも起動してインターネット接続が確立されるまで待ちます。
- PCの電源を入れます。
- 『VALORANT』を起動し、Ping値が改善されたか確認します。
Wi-Fiから有線LAN接続へ切り替えるメリット
もし現在Wi-Fi(無線LAN)で接続しているなら、LANケーブルを使った有線接続に切り替えることを強く推奨します。
有線接続は、無線接続に比べて以下のようなメリットがあります。
- 低遅延: 信号の伝達ロスが少なく、応答速度が速くなります。
- 安定性: 電波干渉の影響を受けないため、通信が途切れたり不安定になったりしにくいです。
- 速度: 環境によっては通信速度自体も向上することがあります。
多くの場合、Wi-Fiから有線接続に変えるだけで、Ping値とパケットロスが大幅に改善されます。『VALORANT』のような競技性の高いゲームでは、有線接続が基本と考えましょう。
不要なアプリ終了とバックグラウンド通信の制限
『VALORANT』をプレイする際は、他のアプリケーションや通信がネットワーク帯域やPCのリソースを圧迫しないように管理することが重要です。
- 不要なアプリケーションの終了:
- Webブラウザ(特に多くのタブを開いている場合)
- 動画・音楽ストリーミングサービス
- ファイルダウンロード/アップロードを行うソフト(Torrentクライアント、クラウド同期アプリなど)
- 他のゲームランチャー(Steam, Epic Games Launcherなど)
- ボイスチャットソフト(Discordなど、必要なければ閉じるかスマホアプリ利用も検討) これらを『VALORANT』起動前にできるだけ終了させましょう。
- 確認方法: Ctrl + Shift + Escキーでタスクマネージャーを開き、「プロセス」タブでネットワーク使用率が高いプロセスがないか確認し、不要なものを終了させます。Windowsの設定で、アプリのバックグラウンド実行を制限することも有効です。
適切なサーバー(東京サーバー)を選択する
日本国内から『VALORANT』をプレイする場合、地理的に最も近い「Tokyo」(東京)サーバーに接続するのが基本です。これにより、物理的な距離による遅延を最小限に抑えることができます。
- サーバーの確認・選択: カスタムゲーム作成時や一部モードのロビー画面で、接続するサーバーを確認・選択できる場合があります。プレイヤーカード付近のアンテナマークにカーソルを合わせると、現在のPing値と接続サーバーが表示されたり、選択画面が開いたりすることがあります。意図せず他の地域のサーバー(例: 香港)に接続されていないか確認しましょう。
- 意図しないサーバー接続: マッチメイキングの待機時間が非常に長い場合など、稀にシステムが自動的に他のアジア太平洋地域のサーバーに接続することがあります。もし普段よりPing値が高い場合は、接続サーバーを確認してみましょう。
Ping値を下げる!具体的な改善策【設定編】
基本的な対策で改善が見られない場合は、PCやネットワークに関する設定を見直してみましょう。
ネットワークとグラフィックドライバを最新に更新する
ネットワークカード(LANアダプター)やグラフィックカードのドライバは、ハードウェアとOSを繋ぐ重要なソフトウェアです。ドライバが古い、または破損していると、パフォーマンスの低下や接続の不安定性を引き起こすことがあります。
- 手順:
- お使いのネットワークカードとグラフィックカードの正確なモデル名を確認します(デバイスマネージャーなどで確認できます)。
- 各ハードウェアメーカー(Intel, NVIDIA, AMD, Realtekなど)の公式ウェブサイトにアクセスします。
- お使いのOSに対応した最新バージョンのドライバをダウンロードし、インストールします。Windows Update経由だけでなく、メーカー公式サイトから直接入手するのが確実です。
- ルーターのファームウェア: 同様に、ルーターの内部ソフトウェア(ファームウェア)も最新版に更新することで、性能や安定性が向上することがあります。メーカーのウェブサイトや説明書を確認し、アップデート手順に従ってください。
IPv6設定の見直し(無効化を試す)
『VALORANT』はIPv6に正式対応しておらず、IPv6接続が有効になっている環境でPing値が高くなる、または不安定になるという報告が多数あります。以下の手順でIPv6を無効化し、改善されるか試してみましょう。
- 無効化手順 (Windows 10/11 の例):
- Winキー + Rキーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」を開きます。
ncpa.cpl
と入力し、Enterキーを押します。「ネットワーク接続」ウィンドウが開きます。- 現在使用している接続(通常は「イーサネット」または「Wi-Fi」)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 項目一覧から「インターネット プロトコル バージョン 6 (TCP/IPv6)」を探し、左側のチェックボックスのチェックを外します。
- 「OK」をクリックして閉じます。
- PCを再起動します。
- 『VALORANT』を起動し、Ping値が改善されたか確認します。
この設定変更は、『VALORANT』のPing問題に対する非常に有効な対策となることが多いです。もし他の用途でIPv6が必要な場合は、『VALORANT』をプレイしない時に設定を元に戻すこともできます。
『VALORANT』プロセスの優先度を上げる
Windowsのタスクマネージャーで『VALORANT』のプロセス優先度を上げることで、PCのリソースが優先的に割り当てられ、応答性が向上し、ラグが軽減される場合があります。
- 手順:
- 『VALORANT』を起動した状態で、Ctrl + Shift + Escキーを押してタスクマネージャーを開きます。
- 「詳細」(または「詳細表示」)タブに切り替えます。
- プロセス一覧から「VALORANT-Win64-Shipping.exe」(または類似の名称)を見つけて右クリックします。
- 「優先度の設定」にカーソルを合わせ、「高」を選択します。(「リアルタイム」はシステムが不安定になることがあるため非推奨です)
- 確認ダイアログが出たら「優先度の変更」をクリックします。
この設定は、PCを再起動したり、『VALORANT』を再起動したりすると元に戻ることがあります。
ゲーム内設定(グラフィック・ネットワーク)の調整
『VALORANT』のゲーム内設定も、間接的にネットワークパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
- グラフィック設定: グラフィック品質(マテリアル、テクスチャ、ディテールなど)を「低」に設定すると、CPUやGPUへの負荷が減り、システム全体の応答性が向上することがあります。特にPCスペックがギリギリの場合に有効です。「ブルーム」や「ディストーション」などの視覚効果をオフにすることも試してみましょう。
- ネットワークバッファリング: 設定メニューの「一般」>「その他」にある「ネットワークバッファリング」を「最低」にすると、サーバーからの情報を受け取る遅延を減らす効果が期待できます。ただし、パケットロスに弱くなる可能性もあるため、状況を見ながら調整が必要です。
- NVIDIA Reflex 低遅延: NVIDIA製GPUを使用している場合、「ビデオ」>「グラフィック品質」で「NVIDIA Reflex 低遅延」を「オン+ブースト」に設定すると、システム全体の遅延(入力ラグ)を削減できます。
- Raw Input Buffer: 「一般」設定にある「Raw Input Buffer」は「オン」にすることが推奨されます。マウス入力がOSを介さず直接ゲームに送られ、操作感が安定します。
ファイアウォールやセキュリティソフトの設定確認
ファイアウォールやアンチウイルスソフトが、『VALORANT』やそのアンチチートシステム「Vanguard」の通信を誤って妨害している可能性があります。
- Windows Defender ファイアウォール: 設定を確認し、『VALORANT』と『Riot Vanguard (vgc.exeなど)』が「許可されたアプリ」の一覧に追加され、通信が許可されているか確認します。必要であれば手動で追加します。
- サードパーティ製セキュリティソフト: お使いのセキュリティソフトの設定画面を開き、同様に『VALORANT』と『Vanguard』を例外(信頼済みアプリ、除外リストなど)に追加します。手順はソフトによって異なります。
- 一時的な無効化テスト: 問題切り分けのため、一時的に(自己責任で)ファイアウォール機能を無効にしてPing値を確認することもできますが、これはテスト目的のみに留め、恒久的な対策ではありません。
- 複数ソフトの競合: 複数のセキュリティソフトをインストールしている場合は、競合して動作が重くなる原因になるため、一つに絞ることを検討しましょう。
(上級者向け) ネットワークカード詳細設定の調整
デバイスマネージャーからネットワークカードのプロパティを開き、「詳細設定」タブでいくつかの項目を調整することで、パフォーマンスが改善する可能性があります。ただし、効果は環境に依存し、設定変更は自己責任で慎重に行ってください。
よく調整される項目例としては、各種「オフロード」機能の無効化、「省電力」機能の無効化、「フローコントロール」の有効化、「速度とデュプレックス」の手動設定などがあります。変更する場合は、一つずつ変更して効果を確認することをおすすめします。
Ping値を下げる!具体的な改善策【環境改善編】
ソフトウェア的な対策を試しても改善しない場合は、使用しているケーブルやルーター、契約しているインターネット回線自体を見直す段階です。
LANケーブルを見直す(CAT6以上を推奨)
有線接続でも、使用しているLANケーブルの品質や規格が低いと、通信のボトルネックになります。
- 規格の確認: LANケーブルには「カテゴリ(CAT)」という規格があります。
- CAT5: 100Mbpsまでしか対応しておらず、現在の光回線(1Gbps以上)では性能不足です。
- CAT5e: 1Gbpsに対応する最低限の規格です。
- CAT6: 1Gbps通信に最適化されており、ノイズ耐性もCAT5eより向上しています。『VALORANT』にはCAT6以上を強く推奨します。
- CAT6A/CAT7: 10Gbps通信に対応し、さらにノイズ耐性が高い(シールド構造など)ことが多いです。1Gbps回線でも、ノイズが多い環境での安定性向上が期待できます。10Gbpsプラン契約の場合はCAT6A以上が必須です。
- ケーブルの状態: ケーブルが折れ曲がっていたり、踏まれたりして損傷していないか確認しましょう。長すぎるケーブルも信号が減衰する可能性があるため、適切な長さのものを選びます。
推奨LANケーブルカテゴリ
カテゴリ | 最大速度 | 推奨度 (VALORANT) | 特徴 |
CAT5e | 1 Gbps | 最低限 (交換推奨) | 安価だがノイズに弱い。 |
CAT6 | 1 Gbps | 推奨 | 1Gbps回線に最適。コストパフォーマンス良好。 |
CAT6A | 10 Gbps | 高性能/将来性 | 10Gbps対応。CAT6よりノイズ耐性が高い傾向。 |
CAT7 | 10 Gbps | 高性能/ノイズ対策 | シールド強化でノイズ耐性が高い。ゲーミング用途で人気。 |
CAT8 | 40 Gbps | 過剰 (一般家庭では不要) | データセンター向け。非常に高価。 |
ルーターの性能を確認・買い替えを検討する
使用しているルーターが以下のような状態の場合、性能不足が原因でPing値に影響している可能性があります。
- 購入してから4~5年以上経過している。
- 頻繁に再起動が必要になる。
- Wi-Fi接続がよく途切れる、不安定。
- 契約している光回線の速度(特に1Gbps以上)に対応できていない。
- ISPからレンタルしている基本的なモデルである。
このような場合は、最新規格(Wi-Fi 6/6Eなど)に対応し、十分な処理能力を持つ高性能なルーターへの買い替えを検討しましょう。特に、ゲーム通信を優先する「QoS」機能が充実したモデルや、「ゲーミングルーター」として販売されている製品は、『VALORANT』のような低遅延が重要なゲームに適しています。
プロバイダー(ISP)に相談してみる
これまでの対策(有線接続、IPv6無効化、再起動、ケーブル交換、ルーター確認など)を一通り試してもPing値が高いまま、または不安定な状態が続く場合は、問題がISP側にある可能性も考えられます。
ISPのサポート窓口に連絡し、以下の情報を具体的に伝えて相談してみましょう。
- 『VALORANT』プレイ中の具体的なPing値とその変動の様子(ゲーム内測定値)。
- 問題が特に発生しやすい時間帯。
- スピードテストの結果(参考情報として)。
- (可能であれば)tracertコマンドで『VALORANT』サーバーへの経路を調べ、ISPネットワーク内で遅延が大きい箇所があればその情報。
回線自体に物理的な問題がないか、地域で障害が発生していないか、特定のゲーム(Valorant)への接続に問題がないかなどを確認してもらいます。プラン変更やゲーミング向けオプションの有無なども尋ねてみると良いでしょう。
ISPの乗り換えを検討する(ゲーミング回線など)
ISPへの相談でも解決せず、現在のISPが低遅延通信に適していないと判断される場合、ISPの乗り換えが最終的な解決策となることがあります。
『VALORANT』のようなオンラインゲーム用途でISPを選ぶ際は、最大通信速度だけでなく、平均Ping値の低さと通信の安定性を重視する必要があります。
- 選択肢:
- IPoE方式(IPv4 over IPv6)対応: 混雑に強いとされる新しい接続方式に対応しているISPを選びましょう。
- ゲーミング回線: ゲーム専用の帯域を確保したり、最適化された経路で接続したりすることを謳うサービス(例: NURO光, auひかり, GameWith光, hi-hoひかり with games など)は有力な候補です。
- 独自回線: NURO光やauひかり、地域限定の電力系回線(eo光、コミュファ光など)は、NTTのフレッツ網とは異なる独自の回線を使用しているため、混雑の影響を受けにくい場合があります。
ISP乗り換え時の注意点:
- 希望するISPが自宅エリアで提供されているか必ず確認する。
- 実際の利用者(特に同じ地域で同じゲームをプレイしている人)のレビューや評判を参考にする。
- 現在のISPの解約に伴う違約金が発生しないか、乗り換え先のISPで違約金負担キャンペーンなどがないか確認する。
主な推奨ISP候補(情報源に基づく一般的な傾向)
ISP名 | Ping値傾向 (情報源より) | 主な特徴 (ゲーム関連) |
NURO光 | 低い/非常に低い | 独自回線(一部)、高速プラン(2G/10G)、低遅延評価 |
auひかり | 低い | 独自回線、混雑回避しやすいとされる |
GameWith光 | 低い (目標値) | ゲーム特化、専用帯域、最短経路接続 |
hi-hoひかり with games | 低い (目標値) | ゲーム特化、専用帯域確保、低Ping値 |
GMOとくとくBB光 | 比較的低い | コストパフォーマンス良好、IPoE標準対応 |
ソフトバンク光 | 可変 (プロバイダ依存) | IPv6高速ハイブリッド(IPoE)必須、要プロバイダ確認 |
ドコモ光 | 可変 (プロバイダ依存) | IPoE対応の優良プロバイダ選択が鍵 |
それでも改善しない場合の高度な対策
上記までの全ての対策を試してもなおPing問題が解決しない場合、さらに高度なネットワーク設定やツールの利用を検討します。
ルーターのQoS機能で『VALORANT』を優先させる
QoS (Quality of Service) は、ルーターがネットワーク上の通信に優先順位をつけ、帯域幅を効率的に割り当てる技術です。
- 効果: QoS設定を利用すると、『VALORANT』の通信データを、他の通信(動画視聴やダウンロードなど)よりも優先的に処理させることができます。これにより、自宅内で他のデバイスがインターネットを使用していても、『VALORANT』プレイ中のラグやPingの急上昇を抑え、接続の安定性を高める効果が期待できます。
- 設定方法:
- ルーターの管理画面にアクセスします。
- 設定メニューから「QoS」「トラフィック管理」「優先制御」などの項目を探します。
- 設定タイプ(デバイス優先、アプリケーション優先、帯域幅制御など)を選択し、『VALORANT』をプレイするPCやゲーム通信の優先度を高く設定します。ゲーミングルーターには簡単な「ゲームモード」設定がある場合が多いです。
- 設定を保存し、必要であればルーターを再起動します。
QoSは主に自宅ネットワーク内の混雑を緩和するのに有効であり、ISP側の問題や物理的な距離による根本的なPing値を下げることはできませんが、Pingの「安定性」向上には役立ちます。
ゲーミングVPNの利用を検討する(効果と注意点)
ゲーミングVPNは、オンラインゲームの通信経路を最適化することを目的としたVPN(Virtual Private Network)サービスです。
- 期待される効果: ISPが提供する通常の経路が混雑している、または遠回りしている場合に、VPNサーバーを経由することでより効率的で低遅延な経路が見つかり、Ping値やパケットロスが改善する可能性があります。ExitLagやLagoFastといった専用ツールや、NordVPN、ExpressVPNなどの汎用VPNサービスが候補になります。
- 注意点:
- 効果は不確実: 必ずしもPing値が改善するとは限りません。元の経路が最適だったり、VPNサーバーが混雑していたりすると、逆に悪化することもあります。
- コスト: 高品質なVPNサービスの多くは有料です。無料VPNはゲーミング用途には推奨されません。
- ゲーム規約: 『VALORANT』では、主に経路改善目的でのVPN利用は容認されている傾向ですが、チート目的での使用は禁止されています。
- 利用の判断: 他の全ての対策を試しても解決せず、ISPの経路に問題があると強く疑われる場合に、最終手段の一つとして試す価値があります。多くの有料VPNは無料試用期間や返金保証を提供しているため、実際に効果があるか確認してから利用を判断できます。
情報収集に役立つコミュニティ
技術的なトラブルシューティングに行き詰まった時や、特定のISP・地域固有の情報が欲しい時は、オンラインコミュニティが役立ちます。
Redditなどのフォーラムを活用する
『VALORANT』に関する情報交換が行われているコミュニティを探してみましょう。
- Reddit: 国際的なプラットフォームですが、「r/VALORANT」や「r/ValorantTechSupport」などのサブレディット(掲示板のようなもの)では、日本からの接続に関する話題や技術的な問題に関する投稿、解決策の共有が見られます。日本語でのやり取りが見られることもあります。
- その他: 日本国内のゲーム専門フォーラムや攻略サイトの掲示板、Discordサーバーなども情報源となり得ます。
「Valorant Ping 高い」「Valorant ラグい 日本」「Valorant 東京サーバー 接続悪い」などのキーワードで検索すると、関連情報が見つかりやすいでしょう。
他のプレイヤーの経験から学ぶ
オンラインコミュニティでは、自分と似た環境(ISP、地域、PCスペックなど)で同じ問題に直面している他のプレイヤーを見つけることができます。
- 問題の切り分け: 多くの人が特定のISPや時間帯に同様の問題を報告していれば、問題が自分の環境だけでない可能性が高いと判断できます。
- 解決策の発見: 一般的なガイドには載っていない、特定のISPやルーターモデル固有の解決策が見つかることがあります。
- 情報交換: 自分の状況を具体的に説明し、経験豊富なプレイヤーからアドバイスをもらえます。
特に大規模なサーバー障害やISPの問題が発生した場合、コミュニティは早期に情報を得るための有効な手段となります。
まとめ
『VALORANT』における高Ping問題は、快適なプレイを妨げる大きな要因ですが、原因を特定し、適切な対策を段階的に講じることで改善できるケースが多くあります。
本記事では、Ping値の基本から始まり、ゲーム内での診断方法、考えられる主な原因(インターネット回線、自宅ネットワーク、PC環境、ハードウェア、サーバー要因、設定)、そして具体的な改善策を基本編・設定編・環境改善編・高度な対策に分けて詳しく解説しました。
特に効果が出やすい対策として、以下の点を再度強調します。
- 可能な限り有線LAN接続を利用する。
- PCのネットワーク設定でIPv6を無効化してみる。
- ゲームプレイ中は不要なアプリケーションを終了し、バックグラウンド通信を管理する。
- 適切なLANケーブル(CAT6以上推奨)を使用し、ルーターの状態も確認する。
- 最終手段として、ISPの乗り換え(特にゲーミング向け回線)を検討する。
高Ping問題の解決には、原因が複合的であることも多く、試行錯誤が必要になるかもしれません。しかし、一つ一つの対策を根気強く試していくことで、きっとより良いプレイ環境に近づけるはずです。
この記事が、あなたの『VALORANT』ライフをより快適にする一助となれば幸いです。安定した低Ping環境で、勝利を掴み取りましょう!